
こんにちは、声楽家×作業療法士の郷田明倫です。
今日は、質問いただきましたので、答えていきたいと思います。
Q 声の支えって何?
「この前、カラオケで長いフレーズを歌ったときに、最後まで息が持たなくて、友達に「もっとお腹で支えたら」と言われました。でも、そうやってお腹に力を入れたら、今度は声まで苦しくなってしまいます。プロの歌手って、あんなに長いフレーズをどうやって支えているんですか?」
という質問でした。

「お腹の支え」「お腹で支えたら」とか、よく指導現場で言われたりするかもしれませんね。
支えって言葉、結構、奥が深いんですよ。
「支え」という言葉は、イタリアでは「アッポッジョ」と「ソステーニョ」という二つの言葉がありまして、若干ニュアンスが違うんですよね。
今日の記事でここまで詳しく掘り下げようと思ったら、ちょっと専門的すぎて…より支えが分からなくなっちゃうかもしれないので、今日はもうちょっとアバウトなところで、支えというものを皆さんに分かっていただけるように話していきたいと思います。
支えというのは、常に何か二つのものがあって、一方のものが動こうとするものを、もう一方のものがサポートしている、補助している。まず、そういうものだと考えてみてください。

例えば、A君がB君に支えられています。
〇〇が、△△によって支えられている。まず、こういう考え方をしてほしいと思います。
では、ちょっと分かりやすいところを、目についたところからいきます。
このピアノの蓋が落ちてくる、ということがあったとして、ピアノの蓋を指で支えています。落ちないようにしています。

これ、支えていますよね。これは理解できると思います。
では次に、この落ちてくるものの重さが、もっとめちゃめちゃ重いものだったとしますよね。
指では支えられません、となったときに、今度は腕全体で支えています。もっと重くなったら、背中で支えます。

もっと重くなったら、いよいよ下半身で支えています。

これ、全部「支え」ですよね。
なので、「お腹で支えなさい」と友達が言ったとありましたけど、厳密に言うと、説明が不十分かなと思うところがあるんですね。だから、この蓋を「下半身で支えろ」と言って、手をここに置くことをやらずに下半身で支えようと思っても、「支え」って分からないじゃないですか。

この説明をすると、そろそろ「支えて必要なものは何なのかな」と想像できてくる人がいるかもしれないんですけど、そう、お腹だけじゃないんですよ。ほかにもいろんなところで、声を支えていかなければいけないというのがあるんですよね。
歌の場合は、フレーズが長く続きませんと、息がすぐなくなってしまいます。

これを持たせられるかどうかということは、息が制御されているということなので、声帯も開きづらくなりますね。
「ハーッ」という空気の動きよりも、「アー」という空気の動きのほうが、息は長く続きそうですし、声帯がしっかり閉じられて、そこに針で開けたような細い隙間がある、という印象がありますよね。
だから、呼吸が無駄に出ていかないために、息を「声帯」で支えなければいけないんですね。

その声帯のどこを使うのかという話は今からするんですけれども、ここ(風船)に肺に空気が入ったとします。これを肺だと思ってくださいね。

ここから空気が出ていきます。この状態は、息が支えられていない状態ですね。

それに対して、出口をしっかり指で支えている状態。

この状態は支えられている状態。ちょっとずつ、ちょっとずつ空気が出ていっています。ということは、この入り口のところで、空気が少しずつ出ていくように調節しているところがどこかといったら、声帯なんですね。
声門閉鎖がしっかりしていれば、出ていく面積というのが狭いので、少しずつ、少しずつ空気が制御されて出ていきます。
けれども広がってしまうと、ドバーッと息が出ていきますよね。
だから、支えの一つは「声帯」なんですね。声門閉鎖ができているかどうかというところが、まず支えで一番大事なところです。
さっきのピアノの蓋の話をもう一度すると、この指のところですね。

ここに指を置いていなければ、そもそもピアノの蓋が落ちてくるのを支えることはできないですよね。ただし、もっともっとこれをしっかり支えたいと思った場合、声帯だけだと負担が大きくかかりますので、その他の、これでいうところの腕だったり、背筋だったり、最終的には下半身だったりという力が必要になってくるわけですね。

それが、喉から下のところの支えなんですね。

息が少しずつ、少しずつ出ていく方法というのは、ここで声帯がしっかりと声門閉鎖されていて、狭い喉を通過するときの、声帯の間の狭い面積が作られているという条件が一つです。
息が支えられるときというのは、吸気時に収縮する筋肉、つまりは横隔膜とか、外肋間筋が使われます。肋骨が広がりながら横隔膜が下がる、この体積が広がろうとすることによって、肺の空気が圧せられるんですね。
この呼気が圧せられるときに使われる力というものを、息を吐くときに同時に使っている。
この状態というのが、かなり生体の負担を軽減してくれるというか、サポートしてくれるんですよね。
この力も、声を支えるという力になります。
なので、さっきの背筋を使ったりとか、下半身を使ったりという力だと、ピアノの蓋の例から、そういうふうに大きな力だということを解釈してあげるといいですね。
さて、横隔膜までの力だけではまだまだ声を支えるためには不十分なんです。次回は、骨盤底筋や腹横筋といった筋肉による支え、をお話ししていきたいと思います。」




コメント