ブルグミュラー25の練習曲 14.「スティリアの女」「シャタイヤー舞曲」を解説

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こんにちは、鹿児島市の〈ピアノ・声楽教室〉かごしま音楽教室Sing!の郷田です!

今回はブルグミュラー25の練習曲より14番「ラ・スティリエンヌ」を解説しようと思います。

「ラ・スティリエンヌ」、つまり”スティリアの女”は、オーストリアのシュタイヤー地方に由来して、「シュタイヤー舞曲」とも訳されます。

原語(オーストリアなのでドイツ語)ではシュタイヤー、英語読みをするとスティリアン、そして楽譜にはフランス読み(ラ・スティリエンヌ)も書かれていますよね。

この曲は3拍子です。3拍子と言われるとすぐに思い浮かぶものは…多くの方は「ワルツ」だと思います。この曲は厳密には、ワルツよりももう少し砕けた踊りである「レントラー」という括りに仕分けられます。

「レントラー」の発祥は、農民や狩人などが始めた少し粗っぽさがある田舎っぽい踊りだったのですね。なので、ワルツよりももう少し自由な、動きがある3拍子だと解釈すると良いと思います。

形式

細分化すると、

アインガング+(楽節A+楽節B+楽節C)+楽節D+Da capo(楽節A+B+C)

となります。

なにやら複雑な形式のように感じるかもしれませんが、

大きく見ると、

カッコ付けした(楽節AからC)をまとめて一つのセクションと考えられます。そのように3つのセクションをまとまった1つの楽節、と解釈すると、セクション1+セクション2+セクション1、つまり

「ABA形式」となる。これでみなさん、理解できますでしょうか?

アインガング

右手の2の指で装飾音、その後に1の指でレを持続させながら、右手外側の指と左手で4分音符を刻みますが、

このド♯レーの持続音、どんな楽器を想像しますか?”アルペンホルン”という楽器がありましてアルプスで吹いているホルンなんですが、

この楽器をポワーンと優しく伸ばす、そんな想像をしてみると良いとおもいます。そうすると、この持続音、決して鋭いタッチではないと思いますよ。

楽節A

出足のスタッカートが特徴的で、メロディの「軽やかさ」を大切にしましょう。

レミファの3つの音をスタッカートした後は、スラーで書かれてありますよね。ここは8分音符を均等に均等に弾こうとする事が重要なわけではないです。3拍子の「揺れる」ニュアンスを引き出してみてください。

そのためには、いろんな3拍子の曲…ピアノ曲のみならず、弦楽器、管楽器、自由で魅力的な3拍子の曲をたくさん聴いてみてください。

楽節B

楽節Aとほぼ同じリズムで構成されていますが、少し違うところはというと…どこでしょう?

左手の音符の長さです。

楽節Aでは8分音符(+8分休符)でしたが、楽節Bでは4分音符ですよね。

そして2小節目からはベースラインが付点2分音符、つまり小節いっぱい音が持続してますよね。

楽節Bではなぜ左手の音の長さが長くなっているのかを検討してみましょう。

楽節Bは「短調」になっていますよね。暗い印象の調です。

みなさん…暗い気持ちの時にスキップはしますか?笑。

長調に対して短調になったため、軽々しさを残しつつも、若干重みがある箇所が楽節Bなのではないかな思います。この4分音符の表現は、8分音符にならないように、そして少し丸いタッチを心がけましょう。

そのように考えると、装飾音の弾き方も楽節Aとは少し違いますよね。軽々しい装飾音に対して、短調になった時にどのように装飾音を表現すべきか。正解はないので、いろんな音源を参考にして各々みなさんが検討してみてください。

楽節C

楽節Bの短調から一転、また長調に戻っていますね。

ただ、やはり左手の音符の長さを見ると、楽節Aのように8分音符ではなく4分音符ですよね。

大切なのは、この曲はブルグミュラー「練習曲」の中の一曲です。楽節A、B、C、それぞれの印象を変化させる、という練習をこの曲でしましょうね、というブルグミュラーさんのメッセージが感じられるのではないかなと、個人的に思っています。

踊りで例えると、楽節Aは、つま先で軽々しく飛ぶようなステップ。楽節Bは、滑らかにススススーと足を運んでいくステップ。楽節Cは、楽節Aとは違う踵で支えながらも軽やかに舞うステップ。(踊り素人の私なので、表現が浅はかかもしれませんが。。)

そのように、全体の印象を上手く作るように、そしてそのポイントは左手にありますよ、という事を理解しましょう。

楽節D

楽節AからCまでにかけてなかった要素がまた登場しますが、みなさん何だと思いますか?

…跳躍です。

オクターブを超えた跳躍がありますよね。ここでミスタッチをしてしまう、という方は、以前の記事→こちら、を読んでみてください。

さて、左手もベースと内声の跳躍があったりと、両手で鍵盤ポジションのゾーンが広がりますよね。という事は、この楽節Dが1番華やかでスケール感が大きいセクションであると思ってください。実際、フォルテで書かれていてdeciso(決然と)と書かれていますよね。

GOUDA AKITOMO(音楽家、作業療法士)

武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。イタリア国立ボローニャ音楽院留学。2004年「第35回イタリア声楽コンコルソ」ミラノ大賞、松下電器賞。2007年「第12回世界オペラコンクール新しい声」アジア予選ファイナリスト。発声法の研究のために解剖書を読み漁ったことからリハビリに興味を持ち、身体や脳の機能など専門教育を経て作業療法士の国家資格を取得。かごしま音楽教室Sing代表。

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