ブルグミュラー25の練習曲 13.なぐさめ を解説

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こんにちは、鹿児島市の声楽・ピアノ教室「かごしま音楽教室」の郷田です!


今回のこの記事では、ブルグミュラー25の練習曲より13番「なぐさめ」を解説していきたいと思います。

形式

前奏+楽節A+楽節B+コーダ、の2部形式で書かれています。

前奏

スタートから7小節が前奏になります。

“dolce lusingando”と書いてありますよね。dolceは、「甘く」、そしてlusingandoという単語はあまり聞き慣れない方が多いと思いますが、「お世辞」など多義語ではありますが、その中に「機嫌を取る」という意味があります。


「甘く、機嫌を取るように。」と訳できます。


例えば、自分よりも小さな子が泣いていた、という場面を想像してみてください。結構多くの人が「大丈夫?」と言って頭を優しく「なでなで、よしよし」したりしませんか?

この右手の高音部のミファミファ…や、ドレドレドレ…は、小さい子に「よしよしよし…大丈夫だよ」と言って頭を撫で撫でしてあげる時の手の往復のような…優しさ、柔らかさを持って弾いてみましょう。

そして、5小節目以降で臨時の♯が入ってきたりして和音に変化が出ますよね。

ここは例えば、小さな子が「うえーん」とより感情的になってきたら…あなたももう少し気持ちを盛り上げて「よしよしよし!」となぐさめたり。


6小節目にdim.(diminuendo)、7小節目にrall.(rallentando)があります。


まず、diminuendoはだんだん弱く、という意味です。しかしdecrescendoという同じ意味の言葉もありますよね。2つの違いと問われると皆さんはどう答えますか?


これに加えて、その後のrallentandoとritardandoの違いも含めて、過去に記事にしていますのでこちらをご確認ください→diminuendoとrallentando…何が違うの?


diminuendoしながらもrallentando。前奏の「よいおさめ方」を是非検討しましょう!そして、ここまでが前奏です。ここから楽節Aというストーリーがスタートします。

楽節A

右手の4分音符(上の棒)に8分音符(下の棒)が同居していますよね?

8分音符は、前奏に引き続き「よしよし」とずっと続けているとしましょう。それに加えて、前奏にはなかった「レガートの旋律」が加えられていて、これは「よしよし」だけではなくて「そうかそうか、いい時もあれば、悲しい時もあるよね」と声をかけている、など、具体的なシチュエーションを考えてみると良いと思います。


そして技術的には、2-5の指で4分音符を保つこと…「つまり離鍵をすぐにしない」という技術は、地味に難しいと思います。

コツとしては、「ゆっくりと練習」これにつきます!離鍵はこのタイミングで、という事を「無意識」レベルになるまでは「とにかく考えてゆっくり」指に覚えこませましょう。何日、場合によっては数週間「ゆっくり」。離鍵が多少雑になっていいのであればもっと速く弾ける!という欲求との戦いに、みなさん勝ちましょう!笑

左手については、ブルグミュラー1番「素直な心」でお伝えした内容と重複しますが、とにかく優しいタッチです。

輪郭がボヤた音を出す、くらいの意図を持ってタッチしましょう。そうすると、右手とのタッチの違いによって、音楽が立体化します。


楽節Aの7小節目、♯がたくさんついていますよね。

音程が半音など狭くなる時は、「胸を締め付けられるような」気持ちを表していることが多いです。大して跳躍は「気持ちの高揚」を表します。


その高揚を抑制する、というメロディの創り方をすると、「繊細な表現」は成功に導けます。ラの音は、優しく跳躍しましょう。

楽節B



楽節Aからの変化はどのような点があげられますか?


8分音符の「よしよし」が、左手に移りましたよね。そして、左手4分音符と右手4分音符のハーモニーが形成されています。


前奏では、4分音符のメロディなし。楽節Aでは4分音符のメロディがつく。そして楽節Bではメロディが2声のハーモニーになる。


そんな発展を遂げていること気がつきましたでしょうか?


2声のハーモニー、綺麗に揃えたいですよね。ここも特別な技術はなく、シンプルに「ゆっくり」合わせる反復を行いましょう。


楽節Bの5小説目からはまた8分音符が移りますが、楽節Aと違う点は、「楽節A→2-4の指が4分音符…楽節B→1の指が4分音符」。つまり、離鍵を保つ指が親指になります。ここを、感覚的にできるだけではなく、保つ指が変わる、と理解をしっかり持っておきましょう。


この曲…終始「ゆっくり」練習しましょう…としか言っていない気がしますが笑。


実は、簡単に弾けそうで、しっかり4分音符のメロディを出す、という意味では実は難しいくて、そしてとても必要な技術が詰まっている曲なので、


是非時間かけて取り組んでみてください!

GOUDA AKITOMO(音楽家、作業療法士)

武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。イタリア国立ボローニャ音楽院留学。2004年「第35回イタリア声楽コンコルソ」ミラノ大賞、松下電器賞。2007年「第12回世界オペラコンクール新しい声」アジア予選ファイナリスト。発声法の研究のために解剖書を読み漁ったことからリハビリに興味を持ち、身体や脳の機能など専門教育を経て作業療法士の国家資格を取得。かごしま音楽教室Sing代表。

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