
前回より、怪しいボイトレを見分けるためにはどうしたらいいの?というお話をしておりますが、
「知識量」それも「学問ベースの知識量」が多いと、見分ける力は養われますよ、という話をしました。今回から、具体的な学問ベースの知識を4つの目次に分けて紹介していきたいと思います。
・人間の身体の原理原則の話
・人間の脳の原理原則の話
・人間の声の原理原則の話
・声の自己変革はどのようにして可能となるのか。
の順です。では、
今回は、「人間の身体のカラクリ」についてです。
人間の身体の根源的な話(カラクリ)
人間の身体の筋肉。これを2つに分類してくださいと言われたら、皆さんはどのように2つに分けますか?

いろいろな分け方がありますが、これから話す話は、
随意筋、不随意筋
いう分類の話になります。
随意筋、不随意筋って何?
随意筋というのは、自分の意思で動かせる筋肉。対して不随意筋というのは自分の意思では動かせない、筋肉です。
ちょっとやっていただきたいのは…
皆さん、5秒間息を止めてみましょう。
…止められましたよね。じゃあ、
5秒間心臓を止めてみましょう…
…無理ですよね。
つまり、呼吸筋は随意筋、心臓の筋肉、心筋は不随意筋なんですね。
心臓は、お母さんのお腹の中で心音が確認された頃から死ぬまで、一生、本人の意思とは無関係に動き続けるものですよね。生まれて死ぬまでずーっと不随意に動き続ける、というのが心筋です。
不随意筋というのは、心筋や、内臓を動かす筋肉、血管の筋肉。ヒトのそれ以外の筋肉は全て随意筋です。
ちなみに呼吸筋というのは、意識的に行う呼吸と、無意識に行う呼吸がありますよね。普段の無意識時は、呼吸の事なんて考えない。けど息はちゃんと行われています。
と言う事は…普段の無意識時の呼吸筋は、不随意筋なんじゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、
普段の無意識呼吸時は、随意筋が不随意運動をしている、という風に医学的には言われています。
他に随意筋の不随意運動としては、寒い時にガクガク震える時ですね。あれも…意識して身体揺らそうとしてないですよね。
で、この随意筋と不随意筋、白と黒みたいにはっきり二分化されていると言うよりも、実は
グラデーションになっているんですね。随意性が高い筋肉→随意性が低い筋肉…いろんなレベルがあるわけです。
例えば、1番随意的なのは、指先の運動に関わる筋肉です。箸を使うとか、すごく細かい作業ができますよね。針の穴を通すとか。

それに対して、太ももの大腿四頭筋は、指ほど細かい動きはできない。けれども、パワーがすごく強い、という特徴を持った筋肉。

で、横隔膜や、呼吸筋群、それから喉周りの筋肉、声を出す時に使われる筋肉。これらはどうかというと、随意筋ではあるけれども意図して扱うのが極めて難しい部類の筋肉が多いです。なぜなら、声ってもうほぼ無意識で出していますよね。お母さんのお腹の中から出てきたその瞬間に、本能的に完璧な使い方をやってのける。

赤ちゃんがオギャーっていう時に、左と右の声門を閉鎖して咽頭腔鼻腔の空間を開けて、オギャー…とか考えてないですよね笑。
声門閉鎖は理性でやってるのではなくて”本能“でやっている事ですよね。
というように、人の身体のコントロールというのは、随意筋があったり不随意筋があったり、または随意筋が不随意運動をしていたり、といろいろあります。随意的であるほど理性でコントロールできて、不随意的になればなるほど本能で考えないでやっている。
ここまで、随意筋、不随意筋、理解できましたでしょうか?
ここまでは「筋肉の原理原則(随意筋と不随意筋)」の話でした。次回は、この話を応用して
「脳の原理原則」の話
を展開していこうと思います。
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