
みなさんこんにちは、かごしま音楽教室Sing代表で声楽家、作業療法士の郷田です!
今日は、質問をいただいておりますので、その解答をしていきたいと思います。
Q ボイトレ情報って、YouTubeやブログ記事に沢山あるのでどれを信じて良いのかわかりません。正しい、正しくないを見分けるコツを教えてください。
A
今の時代、ネットの情報を参考にして発声を学ぶ人も多くなりましたよね。ただ、情報がとても多いので適したモノを見分けるのは大変だと思います。
見分けるコツは、2段階あります。1段階目は、すごく簡単で、2段階目は少し難しいけど見分けることは一応できると思います。
では、まず簡単な1段階目。
「根拠の情報量」が少ない又は全くないもの。「こうやりましょう!」…理由は言わない。こう言う情報は、正しくないと思ってシャットダウンしましょう。

例えば、声が出ないのは軟口蓋があがってないからです!軟口蓋を上げましょう!って言っている人がいたとしますよね。それは軟口蓋を上げるのはなぜなのか、それをすると…どこがどうなって…どういう効果をもたらすのか?、という根拠の情報を添えて説明しなければいけないですよね。でも、結構多いんです…ただこれやってくださいで終わるものがですね。
これ医療の世界でいうと、先生が腰痛の患者さんに唐突に、「椎間板ヘルニアの手術をしましょー!」って言ってるようなものですよね。

椎間板ヘルニアの状態がレントゲンで見るとこうなっているから、選択肢としては保存療法と同時に運動療法か手術するか。今回はこれこれこうだから手術をする選択肢が私はいいと思いますが、いかがですか?という、インフォーム・ド・コンセントというんですけど、手術説明、そして患者さんとの同意なしに手術やっちゃダメですよね。
歌でいうと、
本人のイメージとか感覚のなんとなくのさじ加減で軟口蓋上げるといい声出てる気がするという信憑性レベル、
もしくは、誰か他の人の情報のただの受け売りで本人は何も根拠を持っていない事もあるとおもいます。これは問題外なので、
根拠の情報量がないところで、こうするのが正しいです、というものは、すぐにシャットダウンです。
さて、1段階目は、説明があるかどうか、これだけだから簡単なんですけど…
第2段階目は、説明の情報量が多いもの。
説明の情報量が多いからといって全て信用できるのか?といったら…
これは、50%50%ですよね。正しい根拠の場合もあるかもしれせんし、一部間違えているものの可能性場合もある。または全てが…はちゃめちゃなものかもしれない笑。
なので、1段階目よりも、この2段階目のレベルで迷ってしまう人は多いかもしれません。
この第2段階を見極める力ってどういうものか。ちょっと考えてみましょう。
言い方は悪いですが、騙されるというと…どうしてもマルチ商法が浮かんだので、マルチ商法で例えると、
例えばスムージーみたいなよくわかんない飲み物を売ってくるバイヤーさんがいたとして、

これを飲むとあなたの身体の毒素が出ていきますよ、このスムージーはね、これを飲んでるか飲んでないかで人生全然変わります、通常3万円するところ、2万円と特別にお安くできるんですけど、買いましょうよ。と冗舌にいろんな理由を添えて説得するバイヤーがいたとして、その時に、
そのスムージーに入っている栄養素を全部調べていって、ふむふむビタミン、ミネラル、食物繊維、鉄分、カルシウム、が入っているのか。で栄養学の知識を少し持っていれば、なんだスーパーの野菜コーナーで全部揃えられて自分でミキサーできるじゃん。これに2万?1000円でできちゃうじゃん。とか。

サプリメントのバイヤーがいたら、なんだ
薬局で全部揃うサプリメントだよね、ぼったくるねーとか、って結論になるじゃないですか。
なので、知識があればあるほど、間違ったものに引っかかりにくいです。
ここまで聞いて、じゃ、そのそもそもの知識を入れる時に間違えないためにはどうすればいいんだと思うかもしれません、
結局、知識を拾ってくるソースも騙されていたら終わりですよね、って話になりますので、そのソースとしておすすめのもの。
1番おすすめするのは知識ソースは、ボイトレ情報から得たものではなくて、
「学問」の領域をたくさん知っていること。

学問というのは、歴史が古いものがおおいですよね、古いという事は多くの人が関わって体系立てられています。なので基本、偏りが少ない。もし偏っている方向に進みそうになった時は、途中で気がついた人が改訂していって本質がズレないように調整されますから。学問というものは、そうして今残っているものなので、そうそう間違えることはない領域だし、圧倒的に信頼感高いじゃないですか。
ちなみに、偶に、もちろん学問すら間違う時もたまにあるといえばあります。大昔の、天動説ではなくて地動説が正しい。太陽や月が動いているのは、空が回ってるんじゃなくて地球がまわってるんですよ、と書き換えられたみたいなことが一つありますし、歴史が1192作ろう鎌倉幕府が実は最近1180くらいとなったりとか、たまにありますけど、
でも、よくわからない個人の持論と比べると遥かに間違えない。
じゃあ、どんな学問がおすすめかといったら、本当に大学で習う一般教養でいいのでそういったものを知ってれば知ってるだけいいです。
とは言っても…と言う方のために。
人間の体と脳の原理原則の前提がある程度インプットされていれば、
あ、これはオモチャみたいな事言ってるな、
結構すぐわかるようになりますが、
と言っても、いまから勉強するの大変だと思うので
次回記事からは、変なボイトレに騙されないために、最低限のこれは知っておくといい、という物を厳選して、学問から特に人体と脳のカラクリ的な、医学的な情報をベースとしたところの情報をみなさんにシェアしていきます。
でそれを話した上で、ボイトレ騙される騙されないうんぬんだけではなくて、最終的には、発声をちゃんと自己変革する方法は、本質的にはこういう事ですよ、というところにも着地していこうと思います。

GOUDA AKITOMO(音楽家、作業療法士)
武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。イタリア国立ボローニャ音楽院留学。2004年「第35回イタリア声楽コンコルソ」ミラノ大賞、松下電器賞。2007年「第12回世界オペラコンクール新しい声」アジア予選ファイナリスト。発声法の研究のために解剖書を読み漁ったことからリハビリに興味を持ち、身体や脳の機能など専門教育を経て作業療法士の国家資格を取得。かごしま音楽教室Sing代表。
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