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こんにちは、鹿児島市の〈ピアノ・声楽教室〉かごしま音楽教室Sing!の郷田です!
今回はブルグミュラー25の練習曲より第16番「小さな嘆き」を解説していきたいと思います。
形式
楽節A+楽節Bの形式で書かれています。

イントロダクションやコーダはついていない、シンプルな構成になっています。
楽節A
右手の長い音符を中心としたメロディに対して、左手の分散和音は16分音符の連続です。

スケール感の大きな曲に多いのが、左手のリズムが忙しくて、右手が音符が長くている、というパターンですね。この時に気をつけなければならないのは、
打弦をピークに音が減衰していくというのがピアノという楽器の特徴なので、左手の音量を大きくしてしまうとメロディが死んでしまう、という事です。
トータルとしてP(ピアノ)の強弱記号で示されていますが、左手16分音符全てが同じ音量を取ると右手の音が減衰していき、バランスが悪くなります。
右手がかき消されないような16分音符の弾き方を検討してみましょう。
さて、4小節目で今度は右手が伴奏形、左手がメロディに変更されますね。

左手はチェロを弾くような、そんな自由さを感じて音楽を作ってみてください。特に、4小節目3拍目裏→4拍目では、チェロの運指のポジション移動や頂点の音の若干のテヌートなどを想像すると、「歌う」左手の演奏になっていくと思います。ブルグミュラーはロマン派の作曲家ですし、8分音符均等に、と厳密になる理由もありません。

楽節B
両手スタッカートから楽節Bが始まっています。

2つのスタッカート→和音の解決、部分がありますが、1つ目は、属7和音からg mollへの解決。そして2つ目は属7和音からB Durへの解決。mollは短調、Durは長調と考えてください。
みなさん、悩みを持った時って、例えば自分で自分と対話をするものだと思うんですね。悩んでいる理由は…これがよくなかったから(moll解決)、でも実はいい事もあったんじゃないかな?(Dur)という風に、物事の負の部分だけでなく、正の部分も思い巡るものですよね。
そうすると、2つ目のスタッカートのクレッシェンドの方が大きくなっていく.など。この2つのスタッカートは、独自に発想して解釈を持っておくと良いと思います。そして、
でもやっぱり、3つ目のレガートのフレーズで、悩ましい面が強調されてこの曲はゴールしますよね。
レガートのフレーズは、フォルテからスタートして更にクレッシェンドしていく点も特徴的です。特に、左手のクレッシェンドは非常に大事です。

楽節Aでの左手は休符が多かったですよね?楽節Bのこの箇所は、休符が8分休符、そして楽節Bの6小節目3拍目からは休符なし。
こういった点から、どんどん余裕がなくなっていくような、そんな嘆きになっていく。という表現を左手で作っていく必要があります。

GOUDA AKITOMO(音楽家、作業療法士)
武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。イタリア国立ボローニャ音楽院留学。2004年「第35回イタリア声楽コンコルソ」ミラノ大賞、松下電器賞。2007年「第12回世界オペラコンクール新しい声」アジア予選ファイナリスト。発声法の研究のために解剖書を読み漁ったことからリハビリに興味を持ち、身体や脳の機能など専門教育を経て作業療法士の国家資格を取得。かごしま音楽教室Sing代表。
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