ブルグミュラー25の練習曲 15.「バラード」を解説

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こんにちは、鹿児島市の〈ピアノ・声楽教室〉かごしま音楽教室Sing!の郷田です!

今回は、ブルグミュラー25の練習曲より第15番「バラード」について解説していこうと思います。

タイトル

タイトルは「バラード」。バラードというと現代は、歌の曲調でよく使われますよね。ざっくり言うと、(聴かせる系の歌…)のように使われる事が多いです。

そういうものをバラードと思っている人からすると、この曲のテンポ感や曲調…全然バラードっぽくないような気がすると思います。

そもそものバラードとは、「中世の欧州で盛んに作られた定型詩。物語詩。」と、調べると出てきます。

なので、ゆっくりで甘い歌ばかりがバラードではなく、物語的構成になっているもの、と理解するといいと思います。

形式

楽節A+楽節B+楽節A+コーダの形式で書かれています。

楽節Aは、♭3つの「ハ短調」。対して楽節Bは「ハ長調」。同じハ(ド)を起点とした音階の長調、短調違いの転調をしているんですね。

この転調を「同主調転調」と呼びますので、覚えておきましょう。

楽節A

メロディが左手、右手が伴奏形、のスタイルをとっていますね。

そして右手は3/8拍子内に8分音符3つ。つまり1小節内に3つのバットゥッタ(たたき)がスタッカートで書かれています。

私がイタリア留学時代にお世話になった音楽表現の先生からの助言として、

3連符は「心臓の鼓動」、2連符は「呼吸」だと解釈しなさい、という言葉が印象に残っています。

この右手のスタッカートの3連符は、心臓の鼓動で、時折sf、つまり急にドキッ!とするかのような、そんな人間の内的なものを表しているのかもしれません。

この曲の、指の運動の課題としては、右手伴奏形で左手がメロディになった時の、両手のリズム統合です。

普段は、左手が伴奏形で右手がメロディの曲が多いと思うので、この形に多くの方が慣れていないと思います。

まずはゆっくり弾く練習で、右手左手のジャスト部をしっかり揃える事。工夫練習としては、表拍にアクセントをつけたり、裏拍にアクセントをつけたり、ハノンのようにリズムパターンを変えたりして、

右手と左手のリズム統合を体にインプットさせる練習をたくさん行なってみましょう。

楽節B

(わかりやすいように)楽節Aではスタッカートの世界、楽節Bではスラーがたくさんあるレガートの世界で書かれていますよね。

ドルチェと書いてありますよね。イタリアでは、食後のデザート、を食後のドルチェ、と言ったりします。「甘い」いう意味です。

甘いメロディを作る時の一つのポイントは、基本的にフレーズの1番高い音は、鋭く弾かない、という事です。

どうしても、メロディというのは高い音に登っていく時に緊張感が高まるものですが、山の頂点でフワッと柔らかいタッチがくると、メロディが「甘く」なる…これは是非、ピアノを弾いてみなさんが確実納得してみてください笑。

そして、左手も同様に、楽節Aと同じ印象で弾くと「甘さ」がでなくて、「辛い」時の鋭さが出てしまうと思います笑。

指の力を抜いて、ちょっと「モコモコ」したような音を出そうと思うくらいでちょうどいいかもしれません。

コーダ

ハノンのような、右手と左手のオクターブメロディが出てきました。

これもリズム練習を沢山する事と、

もし右手と左手の足並みが揃っていない場合は、自分の右と左がどのようにズレているのかを分析してみる事です。

左手が右手についていっていないのか、それとも逆なのか。又は、左の、右の、手がもつれている部分がないのか。

ズレ方には、個別の特徴があるものなので、それをしっかり分析してみて、右手左手の二人三脚をピッタリにしていくと良いと思います。

GOUDA AKITOMO(音楽家、作業療法士)

武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。イタリア国立ボローニャ音楽院留学。2004年「第35回イタリア声楽コンコルソ」ミラノ大賞、松下電器賞。2007年「第12回世界オペラコンクール新しい声」アジア予選ファイナリスト。発声法の研究のために解剖書を読み漁ったことからリハビリに興味を持ち、身体や脳の機能など専門教育を経て作業療法士の国家資格を取得。かごしま音楽教室Sing代表。

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