先生の話を聞かない子はどうしたらいい?

こんにちは、〈声楽・ピアノ教室〉鹿児島音楽教室Sing!の郷田です!今回の記事は、「先生の話を聞かないで、弾き始めてしまう」という特徴の子についての記事です。

子供のピアノ指導のアルアルだと思いますが…とにかく先生が演奏を止めようとしても弾き続ける、又は先生の話が終わるや否や弾き始める(食い気味に笑)、そして話を無視して弾き始める(先生としては一番嫌ですが…)、など。しばしば目にする光景です。

そのような時に、「聞きなさい!」と強く指導するしか方法はないのか?考えていきたいと思います。

脳の「注意機能」にエラーがあるか確認

まず根本的な確認が必要です。それは…先生の指示を聞く「注意」が先生に向いているか、という点の確認です。

「注意」というのは脳の働きの一つです。よく脳の障害(高次脳機能障害)となった患者さんに「注意障害があるかどうか?」とお医者さんやセラピストが確認、検査する事があるんですね。つまり、器質的に脳機能にエラーが起こっているのか否か、という点をチェックする事は大事です。

「注意」には、外にある様々な刺激や情報の中で「今必要な情報」を選択するという「選択性注意」という機能があります。ラジオのアンテナが、電波を受け取って「FM〇〇番」に合わせている時は、そのラジオ局のラジオを聴けます。しかし、「FM〇〇番」が正しく合わさっていない時は、他の刺激が入り乱れて「ザー」っとなりますよね?また、正しい番号になっていても…アンテナの感度が悪いとやはり、「ザー」となってしまいます。

このように、アンテナの感度(人の集中力)と番号選択(注意の選択)がクリアして初めて、人の話はしっかり聴けるのです。

そしてもう一つ。注意というのは、〈スタミナ〉も必要になります。先生の話が長ーい授業…学生時代を振り返ってみると、途中で「先生が何を話しているのか全然わからなくなっている」事、ありましたよね。

小さい子になればなるほど、大人がそんなにたくさん話していなかったとしても…まだスタミナが全然足りなくてすぐに話が聞けなくなってしまったりする事は大いにあります。

つまり、子供によって注意の「感度」「選択性」「スタミナ」など、個別にレベルの違いや特徴の違いがあるという事と、その現時点での成長レベルも様々という事です。

ここを理解する事なく「態度が悪い→だから厳しく指導する」という事をしてしまうと、子供としては「何も悪意はなかったのに怒られてしまった」と感じることがほとんどです。

注意にエラーがある時は「どうして聞けなかったか」子供と確認する事

先生はただ「聞きなさい」と注意するのではなく、生徒の「脳機能としての注意力」に配慮しながら「先生が話していたけど、どうしたの?」と質問するなどして、生徒が聞けなかった理由をお互いに確認をすると良いと思います。 

子によって、「今日は特にいつも以上に疲れた日だった」「悩み事や考え事をしている日で集中できていなかった」「寝れていない」「曲の難しいと感じる箇所だったので緊張して指先の動きばかりに気がとられた」など、注意がうまくいかなかった原因が出てくると思います。そこをフィードバックして、改善の前の「気づき」をサポートしてあげる事が大切です。

最後に…故意に「聞かなかった」というパターンもあるという事

また他にも原因はいろいろあります。注意の問題ではなく聞こえていたけど無視してしまったパターンです。「イライラしていて先生を無視してしまった」「先生を信頼できていない」「先生の言っている事と意見が一致していない」「反抗期」「先生への試し行為」などの理由で話を「聞けなかった」のではなく「聞かなかった」というパターンもあるかもしれません。その場合は、先ずは先生と生徒間でのラポール(信頼関係)はどうなっているのか?生徒がレッスン外(学校、家庭、交友関係)でストレス要因を抱えていないか?自分の言動や反応、など原因を立ち返って探してみるなどの対処が必要になります。

今回の記事では、生徒が「聞けていない」場合、聞けなかった原因はどこにあるのかを考察する事なしに指導する事は良くない、という内容をお伝えしました。

GODA AKITOMO(音楽家、作業療法士)

武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。イタリア国立ボローニャ音楽院留学。2004年「第35回イタリア声楽コンコルソ」ミラノ大賞、松下電器賞。2007年「第12回世界オペラコンクール新しい声」アジア予選ファイナリスト。発声法の研究のために解剖書を読み漁ったことからリハビリに興味を持ち、身体や脳の機能など専門教育を経て作業療法士の国家資格を取得。かごしま音楽教室Sing代表。

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