「歌うこと」と「各世代の発達課題」

小学生の歌

小学生の時期の子供は、勉強や遊び、音楽、スポーツといった色々な分野で自分には能力があるのだという「有能感」を感じる事が大切です。その事が実は、未来の仕事や課業に対する思考の基礎となると言われています。「勤勉性」は成功によって強く動機づけられます。また逆に、失敗や失敗への恐れは「劣等感」を生み出します。

当教室での歌コースでは、目先の「歌が上手な子」を作る目的はあまり持たないように考えています。大切なことは、集団の中で声を出す経験が子供の人格育成に良い作用をもたらす事、情感が動く音楽体験で情緒形成に働きかける事、であると考えています。ただし、「声帯の本能的な運動バランス」をこの時期に多く経験すると、正確な音程を取る能力が育つ他、大人になって歌を本格的に学びたい時の大きな強みとなります。そして大人になって歌を歌っていなかったとしても学童期の歌レッスンの体験から声が出づらい事による劣等感を感じづらく、大人になってからのコミュニケーション能力に影響を与えます。そのため楽しみながら「声帯伸縮運動」のメニューも取り入れていきます。

ピアノを習うことと違い、当教室の小学生の歌レッスンは、家での予習復習をしなければレッスンが成り立たない事はあまりありません。保護者の方にレッスン外でお勧めする事としては、ご家族でカラオケに行ったり、家で歌う環境がある方は「子供が自由に歌う時間」をルールを設定して設けてあげる事です。

中高生の歌

中学生、高校生の時期は、子供と大人(社会人)の中間的社会位置にあり、両親や他人から情緒的に独立していく時期です。学校の部活動に励み「自身のアイデンティティ」を確立したり、学業においては受験勉強という重要なライフイベントもあります。学生の本分は学業にあり、それが疎かになる音楽との付き合い方になっていないか、指導者としてよく観察するようにしています。

声に関しては、特に男性は「声変わり」という重要な時期を経るために、歌のレッスンを行う場合注意深く観察する必要があります。しかし身体的に目まぐるしく体が発達する時期でもあり、歌うための身体の強さをつくり始めることができます。また、練習の苦しさという過程を経た後の舞台での成功体験を重ねると「苦しい練習も楽しい要素の一つである」という思考も芽生えます。

そして、この時期は職業を選択し準備をする時期でもあります。音楽高校や音楽大学受験を志望する生徒さんへお伝えすることとしては、耳が痛くなると思いますが”希望する職業として「音楽」を選択する事の厳しい現実”と”自分が社会に対して音楽で何を還元できるのか”を共に考える事を経て、進路選択をする事です。

受験対策をご希望の方は、オプションとして楽典、聴音、ソルフェージュレッスンなども、必要に応じて検討しましょう。

青年期、高齢期の歌

青年期になると、一人前の人生が始まり、結婚し、家庭と仕事を持つようになります。家庭生活、職場生活、そして地域生活と多忙を極めます。特に、職場生活は義務、責任、拘束の性格を持ちます。しかし、「拘束から離脱した(自分らしい)自由な領域」を持つことで、人間らしく生きられる自分とのバランス保つことが出来ます。音楽を能動的に演奏する、歌う事に没頭する事や、道を極める精神を尊重して貴方の音楽生活をサポートいたします。

高齢期の生きがいは「健康」「楽しみ」「仲間」から生まれると言われています。人生は楽しく、充実したものでありたいと誰もが思い、それには夢中になれる何かが必要です。そして我を忘れて没頭できるような「自分なりの楽しみ」がやがて、新しい「自分探し」「世界探し」へと導いてくれるものです。その活動が好きで、それをしている時間が楽しいものになれば、その活動は「自ずと深まり」別な自分、別な世界を開発することができ、その道程に限りはありません。もう一つ重要なのは「共に歩んでいる」という感謝と充実感でもあります。シルバー時代を「社会参加」で「仲間と共に」生きましょう。そのために当教室では、”懐かしい歌を歌う会”も催す予定を検討中ですので、興味があればご相談ください。

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