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みなさんこんにちは、声楽・ピアノ教室のかごしま(鹿児島)音楽教室Sing!、郷田です!
今回はブルグミュラー25の練習曲より第7番「清らかな流れ」を解説したいと思います。
タイトルについて
いまのお子様方はあまり知らないでしょうか…「ああー♪川の流れのように〜♪(美空ひばりさん)」という曲。小さな小川が集まってきてやがて大河になる…ような壮大な曲ですが。
この曲はおそらくそんな曲では…ありません笑。
先日私は長野県に行ったのですが、ほんとに水質が良い綺麗水が、さらさらと流れていく小川がいっぱいありました。上流にあるような川、をイメージした曲だと思います。
形式
楽節A+楽節B+楽節A’、各8小節から構成される三部形式です。
楽節A
まず、左手は「ソ」と「レ」をループ(繰り返し)していますね。
この曲の調性が「ト長調」であり、このト長調の主音と属音が、「ソ」「レ」にあります。楽節Aは、ト長調の最も安定した響きであるI度の和音から動く事はなく、その土台の上に3連符で「ソシレ」、時に「レファラド」の和音という構成をとることで
水流の先に先に流れていく印象や、時に微妙に流れが変わっていく印象などをつくっています。
さて、みなさんはこの楽節Aの主旋律は?と問われたらどうでしょう?
シソレシソレ…と思った方はいますか?
実は、この大譜表の上段(つまり右手の段)に下棒がついていますよね。シーシードーラーシーシー、がメロディなんですね。
上を向いている3連符の連続はいわゆる「オブリガード」と呼ばれるものです。有名なものでは、バッハ「主よ人の望みの喜びよ」です。
これも、高音部ではなく中間に属しているメロディが主旋律なんですね。みなさんにとって印象的な高音部メロディはオブリガードなんです。
そう考えると、この曲の右手高音部は主張が強すぎないようにタッチする必要があります。
更に言うと、曲全体がpp又はpで書かれてありますよね。主旋律が右手親指にあるのは前述のとおりですが、この親指の音量コントロールが非常に難しいという課題もあります。
流れるような曲調からついつい速いテンポで弾きたくなってしまいますが、是非、全体のタッチバランスを整えるために「ゆっくり確実に」弾けるテンポで沢山練習する事をお勧めします。
楽節B
ト長調から、ニ長調への転調をして雰囲気が変わっていますね。
そして、右手の拍頭がすべて8分休符となっています。右手3連符が(休符+音符+音符)となるわけですが、その休符の箇所に左手のメロディが来ていますよね。
ちょっと「こだま」のような、又はポピュラーな音楽ではしばしば「ディレイ効果」とも言ったりします。その「ディレイ効果」を得ながらこの左手と右手で10度の綺麗な和音を奏でています。
この箇所も、右手の手首は柔らかく使って、特に3連符の最後の音が鋭い音とならないように気をつけましょう。
GOUDA AKITOMO(音楽家、作業療法士)
武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。イタリア国立ボローニャ音楽院留学。2004年「第35回イタリア声楽コンコルソ」ミラノ大賞、松下電器賞。2007年「第12回世界オペラコンクール新しい声」アジア予選ファイナリスト。発声法の研究のために解剖書を読み漁ったことからリハビリに興味を持ち、身体や脳の機能など専門教育を経て作業療法士の国家資格を取得。かごしま音楽教室Sing代表。
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