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みなさんこんにちは、声楽・ピアノ教室「かごしま(鹿児島)音楽教室Sing!」の郷田です。今回のこの記事では、ブルグミュラー25の練習曲から4番、「子供の集会」を解説していこうと思います。
「子供の集会」というタイトルから読み取れる事は、子供達が遊んでいる風景ですよね。可愛らしい、軽々しい、曲です。
ではまず形式を確認しましょう。
形式
「子供の集会」は、前奏+主要楽節A+中間楽節B+主要楽節Aの三部形式です。
楽節Aで登場したモチーフが、変化をしたりして楽節Bで展開しています。これは、古典派ソナタの第1楽章でよく用いられる、いわゆる「ソナタ形式」のスタイルをとっています。
楽節Aの下行音程。これと同じリズムで楽節Bでは上行音程で書かれてあります。
前奏
前奏は左手のメロディからスタートしています。
皆さんはこの部分、どんな楽器を想像しますか?チェロが演奏しているような印象を受けます。
楽譜にスラー表記が書かれています。一つ一つの鍵盤の離鍵が早くならないようにして、レガートを上手に表現しましょう。
それに対して右手の下行音程は、スタッカートですよね。左手がチェロと言いましたが、同じ弦楽器でバイオリンを想像してみましょう。そうすると、このスタッカートは「ピッチカート」、つまり指で弦を弾く奏法を考えて演奏してみましょう。
楽節A
前奏ではスタッカートだった右手のメロディも、楽節Aではレガートになります。
この部分…レガートを叶えるために難しい点があります。特に指番号1,3から3,5に移る部分は音をつなげるのが至難の技です。
鍵盤を打鍵してキープしている両方の指を保とうと思うと無理がありますので、2本の指を保とうとは考えずに、1本の指…つまり、1の指だけ保ってあげようと思うと、レガートが繋がって聞こえますので、試してみてください。
楽節B
楽節Bは、非常に興味深い作り方となっています。まず楽節Aでは下行音程によってメロディが構成されていたのに対して、楽節Bでは上行音程によって構成されていますよね。
まるで楽節Aで子供が考えた事に対して全く反対の考えを別の子が主張しているような…そんな捉えかたもできると思います。
その反対の考えは、左手によって始まり、それに続く様に右手が同調していきます。しかし18小節目ではやはり下行音程がまた出てきて、少し混純としていきます。
19-21小節では、素直に上行できずに…やっと踏ん切りがついたように22小節目から大きく上行していって、楽節A’に入っていきます。
子供たちが集って楽しく遊んでいる、でもそこには子供たち同士の意見交換があり、しばしば同じ考えを持っていない「個」が存在しますよね。
だから違う意見が出たり、意見に同調があったりして…遊びの深い部分まで表されている、とても良い曲だと感じます。
GOUDA AKITOMO(音楽家、作業療法士)
武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。イタリア国立ボローニャ音楽院留学。2004年「第35回イタリア声楽コンコルソ」ミラノ大賞、松下電器賞。2007年「第12回世界オペラコンクール新しい声」アジア予選ファイナリスト。発声法の研究のために解剖書を読み漁ったことからリハビリに興味を持ち、身体や脳の機能など専門教育を経て作業療法士の国家資格を取得。かごしま音楽教室Sing代表。
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