音楽教育「とりあえず褒めておこう」の罠?

 こんにちは、〈声楽・ピアノ教室〉鹿児島音楽教室Sing!の郷田です!

 昭和から平成、令和と時代が変わるにつれ、教育界は「褒めて伸ばしましょう」という風潮が強くなっていますよね。昔は僕もよく先生から叱られたり怒られたりしていました。今ではおそらくハラスメントと言われるようなことも..結構あったと思います。。子供を傷つけるような指導が減っていくことは良いことですし、そしてもちろん教育上、褒める事はとても重要です。

 しかし..意図なく「とにかく褒めておけば良い」という教育スタイル、つまりは「とりあえず褒める」という考えは短略的です。

意図なくとりあえず褒めること

 子供に限定しなくても良いと思います。みなさんが人から褒められる時、どんなことを思いますか?「私の頑張った事をみてくれていたんだ、気づいてくれたんだ」と嬉しくなる時、自信になる時、励まされた気持ちになる時、もちろんあると思います。

 しかし逆にこんな事はないでしょうか?

 「とりあえず褒めてくれたんだろうな」「褒めようとしてくれたんだろうな」「ただ、気を使ってくれたんだろうな」。

 多くの人は「本心で言ってくれた事」と「社交辞令的なもの」の区別をするものです。

「尊敬できる人が」褒めた時、人は褒めらる事に自信を持ちます。しかし、

「この人、あまり信じられないな」という人の言葉は、右から左へ受け流す人が多いのではないでしょうか?

本心から褒めること、子供をいつもみていること

 やはり、大人がその子の日頃の行動や考えている事、取り組んでいる事、頑張っている事や努力している中でのその子特有のこだわり、などをいつも見て知っているということがとっても大事です。

 気持ちの入っていない「すごいね」「よかったよ」、その子への理解を伴わない「君は〜だね」「良い子だね」という上部の言葉は、勘がいい子は「社交辞令である」と気づいて聞く耳を持たない、または表面的に喜んでいるフリをする=自信につながるわけではない。もっと言えば、子供から「都合がいい先生だ」と本当の信頼を気づけない結果となります。意図なくただ褒めていると、逆に子供の信頼を失ってしまうこともよくあります。

 褒める事がちゃんと意味を持つ場合…それは、「日頃のコミュニケーション、関係性、ラポール形成」が土台となっているのです。

 褒め方としては、短時間で印象の強い褒め方を。

 上記が根本的な話で、最後は少し表面的なテクニックについて話して終わりたいと思います(特に、自己表現が苦手な先生は、表面的なテクニックも意識した方が良いかもしれません)。

 例えば。多くの人が目で見る情報はわかりやすいと感じる一方で、「長い話」による情報は苦手です。それは、大人も子供も同じですね。

 すなわち、長い説明をしながら説得して子供を褒める事よりも、短くて印象の強い褒め方の方が子供の心に響く事が多いです。短くて強い印象の褒め方をするための核となるのは、説明よりも情緒です。

 「おお!うわー、すごかった!とっってもいい!」など、褒める側の感情表現を加えて話せば、子供は頭で理解しようとせずに本能的にモチベーションを上げます。つまり、ノンバーバル(非言語的)な部分です。表情や、声のトーン、強さ、明るさ、落ち着き、身振り手振り、などにも子供へのメッセージは含まれているのです。

 その上で、人の話をしっかり聞けるタイプの子には、説明を多少多く織り交ぜてもいいかもしれませんね。

 「とりあえず褒めておこう」と対応してしまう先生は、ぜひ良い褒め方を検討してみてください。

GOUDA AKITOMO(音楽家、作業療法士)

武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。イタリア国立ボローニャ音楽院留学。2004年「第35回イタリア声楽コンコルソ」ミラノ大賞、松下電器賞。2007年「第12回世界オペラコンクール新しい声」アジア予選ファイナリスト。発声法の研究のために解剖書を読み漁ったことからリハビリに興味を持ち、身体や脳の機能など専門教育を経て作業療法士の国家資格を取得。かごしま音楽教室Sing代表。

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