ピアノ学習者のための「身体解剖学」第2回〜腕〜

こんにちは、鹿児島音楽教室Sing!の郷田です。

前回から解剖学の知識を交えて解説をしています、ピアノを弾く人の身体のこと。今回は、についてです。

腕はどこから始まっているでしょう?

 腕の始まりはどのあたりと認識していますか?多くの方は「肩のあたりから」と考えているのではないでしょうか??

専門的には上腕骨の体幹側末端が腕の始まりと認識している方が多いという事です。

 多くの方が肩の関節と認識しているこの箇所は、肩甲上腕関節といいます。肩甲骨と上腕骨を関節しているから「肩甲上腕」と呼ばれるんですね。

しかし…実はこの「肩甲上腕関節」はそれ単体で関節運動が成り立っていません。

肩甲骨と鎖骨の連動があってはじめて、肩関節は運動が出来るような仕組みになっているんですね。

では次は、鎖骨や肩甲骨が動く際にポイントとなる箇所について解説していきます。

肩の運動と鎖骨、肩甲骨

 胸の中心に位置している骨、これを胸骨と言います。そしてこの「胸骨と鎖骨が連携している関節」を「胸鎖関節」と呼びます。まず腕はこの関節を視点に動いていると認識して良いと思います。

そして背中側は肩甲骨です。肩甲骨はいろいろな動きをします。外に広がっていく動きを外転、真ん中に寄せられる動きを内転と言います。腕を前に持っていくと肩甲骨が外転するようになっていて、腕を後ろに持っていけば内転するようになっています。

また、肩甲骨は上方回旋下方回旋という動きをすることもできます。上方回旋は反時計回りに回る動き、下方回線は時計回りに回る動きです。

腕をバンザイする時は肩甲骨が上方回旋して、バンザイから元に戻す時は下方回旋しているんですね。

実際にピアノを演奏する時は、バンザイをするようなことはありませんよね。そこまで激しく鎖骨や肩甲骨が動くわけではないんですが、

少なくとも肩甲上腕関節から腕がはじまっている、という認識でいると、肩の運ん動効率は下がってしまい、動きの柔軟性が削がれてしまいます。結果、脱力に課題が出るでしょう。

なので、ピアノ演奏の際に腕のしなやかな動きは、胸や背中側からの動きによって起こってくる、という事を理解してみてください。

今回は、腕のお話でした。

GOUDA AKITOMO(音楽家、作業療法士)

武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。イタリア国立ボローニャ音楽院留学。2004年「第35回イタリア声楽コンコルソ」ミラノ大賞、松下電器賞。2007年「第12回世界オペラコンクール新しい声」アジア予選ファイナリスト。発声法の研究のために解剖書を読み漁ったことからリハビリに興味を持ち、身体や脳の機能など専門教育を経て作業療法士の国家資格を取得。かごしま音楽教室Sing代表。

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