ブルグミュラー25の練習曲 3.牧歌 を解説

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 こんにちは、〈声楽・ピアノ教室〉鹿児島音楽教室Singの郷田です。今回はブルグミュラー25の練習曲集より第3番「牧歌」の解説をいたします。

 「牧歌」とは、どのような意味があるでしょう?

 田園ファームに行かれた方はよくわかると思いますが、広ーい草原で牛たちが草を食べながら…そんな”のどかな”風景を想像してみてください。

 忙しく毎日が過ぎている生活から一変して、都会から離れてそのような時間の流れがゆっくりでのどかな場所に置かれたから。人はどのような事を感じるでしょうか?そういった情景をまずは「想像」してみてください。そして、声に出さずとも心の中で歌いたくなるような気持ち、それがあなたの「牧歌」かもしれませんよ。

速度表記

 アンダンティーノと書いてあります。もう少し細かく検討してみます。

 アンダンティーノというのは「小さなアンダンテ」という意味です。アンダンテはよく「歩くような速さ」と言われますが、歩く速さって人によって違いますよね?じゃあ、実際どういうテンポ感なのかというと…

 イタリア語で「アンダンテ」は「アンダーレ」という動詞の現在分詞形になります。アンダーレというのは「行く」という動詞ですが、「進む」とも訳できます。そこから、どんどん先へ進んで行く、という解釈をすると、ゆっくり歩くというよりも少し速足で歩くようなテンポ、と理解すると良いのかなと思います。

 ではアンダンティーノは、アンダンテをもう少しコンパクトにした言葉、つまりはアンダンテよりももう少し速さのあるテンポと理解しましょう。

 そう考えると、のどかな「牧歌」ではありますが、軽快さ、は残しておきたいですね。眠たくなるくらいのどかでゆっくりな印象にならないような笑テンポを心がけましょう。

形式

 ブルグミュラー3番の「牧歌」は、導入部+楽節A+楽節B+楽節A’+コーダの三部形式です。

 6/8拍子で2小節の導入部、または「前置き」がありますね。この導入部を前置き、と表しましたが、曲がまだ本格的にはスタートしていないような感じで、タップリと弾きましょう。dolce cantabileと書いてありますね。甘く、歌うように、という意味です。導入部からアンダンティーノで軽快に!とは考えずにこの2小節はタップリと歌いましょう。

A楽節

 まず左手のタッチについてです。優しく、でも軽快に…易しいようで結構、難しいと思います。一つ提案としては、左手の4回リズムを叩く、最初の1回に少し重さを持った後は、残り3つを余韻で弾くような…伝わりますでしょうか?

 柔らかく弾けても4つの叩きを全て同じタッチ、音質、音量で叩けば一本調子になります。まるで残響が「トントントン…」と残っていくようなタッチを探ってみてください。

 それから右手は歌うように。歌う時って、フレーズの合間に何をやっているかというと…息を吸っていますね。スラーとスラーの間は息継ぎをするように心がけて、美しいメロディをまるで歌っているかのように表現してみてください。左手は伴奏者、右手は歌手です。

楽節B

 左手の伴奏形がすこし変化していますよね。

 これによって、楽節Aと比べてどんな変化を感じるのかを考えてみてください。そして、あなたが感じる変化をどのような技術を使えば、具現化できるのか、そこに各々みなさん、検討してみてください。

 そして右手は、楽節Aと比べると…1拍目五線を超えたラの音、その後五線の中に落ち着きます。少し気持ちが高揚して、少し気持ちを抑えようともしていたり…例えばそんな感性をもってメロディを弾くと、表現されてくるのではないでしょうか?

 そして、楽節Bの5小節目、ドがシャープになって、左手のシにもフラットが現れます。一時的に転調して不安定になりますよね。そして、左手のして♭は3回同じ音を、小節が進んで6小節目に右手のミ♭も3回同じ音を続けています。

 この一時転調の部分も、和音つまり背景の不安定さ、そして♭の音を作曲家がなぜ連続させたのか、を考えてみてください。答えがあるわけではなくて、皆さんが想像して、そこに具体的な意味づけを各々が心の中に持つこと、これが大事な事です。

コーダ

 コーダ部分は、落ち着いた2小節から最後に右手は高い音へ、左手は低い音へ跳躍していきますよね。poco rall.と書いてありますが、ラレントンドとは「遅くなる」という意味、「少し遅くなって」終わるわけです。

 ピアノの音域は広くなるけど、テンポが遅くなってピアニッシモで終わる。この終わらせ方は是非こだわってください。例えば、カメラワークが大きな空を映し出して、徐々に映像がフェードアウトする、など想像してみましょう。それを「音」で具現化できれば、あなたは立派な「音楽家」です。

 という事で、3番「牧歌」の解説でした。

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