腰痛、脊柱管狭窄症を解消しよう!

最近、このような悩みを抱えている人はいますか?

「あるいている時に、ふくらはぎがしびれて歩けない」

「足腰が痛くなるので、立ち続ける事が出来ない」

「足の裏の感覚が鈍くて、外出ができない」

「足裏やお尻のしびれ、痛みがある」

…これらは「脊柱管狭窄症」の典型的な症状です。

脊柱管狭窄症が日本で増えてきている

日本では高齢化に伴って、脊柱管狭窄症の患者さんが増えています。加齢による背骨の変化が大きな要因であるため、今後も高齢化が進むにつれて患者数は右肩上がりに増えていく事でしょう。

脊柱管狭窄症が疑われたら?

「脊柱管狭窄症」は難治性の疾患と言われますが(馬尾神経という神経が強く圧迫されるような重症な場合を除いて)実は「手術を受けないと治らない病気」というわけではありません。神経の損傷が軽いうちであれば、手術をしなくても足腰の痛みやシビれ、小刻みにしか歩けない症状(間欠性跛行といいます)などを改善させることは十分に可能です。

そして実は、安静にすることが、かえって病状を悪化させる事になっている人も多くいらっしゃいます。

ただ安静にするのではなく、「運動療法」を取り入れて、腰痛や下肢痛を緩和させていくことをお勧めします。

脊柱管狭窄症とは?

背骨(脊椎)は、24個の椎骨という小さな骨がうえに積み上げられるように重なって出来ています。椎骨の中央に椎孔と呼ばれる穴があいており、椎骨が積み重なることで縦に長い空洞が出来ています。これを「脊柱管」と呼び、脊髄、馬尾神経、神経根など重要な神経の通り道となっています。

「腰部脊柱管狭窄症」とは、腰椎の脊柱管が様々な原因で狭くなり、中を通る神経が強く締め付けられて、足腰のに疼痛やしびれが現れる病態のことです。慢性化する事が多く、腰痛や坐骨神経、下肢のしびれなどの症状が現れます。

原因にはどのようなものがあるの?

脊柱管狭窄症には様々な要因があります。

1.靭帯の肥厚

脊柱管の背中側にある黄色靭帯や、脊柱管の腹側にある後縦靭帯が撓んで厚くなると、脊柱管のや椎間孔が狭くなって、神経が締め付けられる。

2. 椎間関節の変性

椎骨の後部にある椎間関節の傷みによって脊柱管や椎間孔が狭くなり、神経が締め付けられる。

3. 椎体の変性

骨棘(椎間板の上下にある椎体のへりに生じるトゲのような出っ張り)が、脊柱管や椎間孔にせり出して神経が圧迫、刺激され、痛みや痺れといった症状が現れる。

4 椎間板の変性膨隆

繊維輪(椎間板の外側を覆っている軟骨組織)が傷み、内部の髄核がズレて椎間板が潰されたり後ろに膨らんだりして結果、脊柱管や椎間孔が狭くなり、神経が締め付けられます。

これらの1ー4の要素、またはこれらが重なって症状が起きているものを「変形生腰椎症」といい、脊柱管狭窄症のなかでも最も多い原因疾患です。

5 腰椎すべり症

椎骨同士が前後方向にずれる事で脊柱管や椎間孔が狭くなって神経を圧迫する病気を「腰椎(変性・分離)すべり症といいます。

変性すべり症(椎間板がゆるんで腰椎がずれ)は馬尾症状(膀胱や直腸の排尿・排便障害)をきたす事が多く、40歳以上の女性に多く見られる。

分離すべり症*スポーツなどの原因でで椎弓に亀裂が入り、分離してすべる)か下肢の痛みを起こしやすく、比較的若い人に多く見られる。

6 変性側弯

脊椎が左右に曲がった結果、脊柱管や椎間孔が狭くなって神経が締め付けられるもの。先天性、突発性などの種類がありますが、加齢によって椎間板が変性してゆるみ、腰椎がねじれるように横方向に曲がりのが原因。

「脊柱管狭窄症」といってもこれだけさまざまな原因があります。そして、一つの原因で起こっているというよりも、複数の要因によって起こっている場合がほとんどです。

また、脊柱管が狭くなっている部分は一箇所とは限らず、複数の箇所に及ぶ事も多いです。

脊柱管狭窄症は負担が大きい腰部の下部で多発する。

胸椎と比べて腰椎は、肋骨などの骨が存在しないため、前後左右に比較的自由に動かす事ができます。しかし、自由な反面、背骨のみで耐える事も多くなり(座る、物を持ち上げるなど)負担がかかりやすいという問題点もあります。

そのようにして負担がかかった結果、腰椎がズレたり、加齢による黄色靭帯の肥厚や、椎間板の潰れなどによって神経が締め付けられてしまいます。

このように、脊柱管狭窄が最も起こりやすいのは、腰椎の第4腰椎、第5腰椎の間といわれています。

立ったりすわったりしている間に上半身の負担が重くのしかかっている部位です。

どの椎骨のところで、神経が締め付けられているのかは、身体のどこに痛みやしびれが現れているかを見ることによってある程度推測する事ができます。

膝下の外側や親指が痛い場合、第4、5腰椎間の狭窄の可能性。

お尻から太もも、膝下の外側、親指にかけて痛みがある場合、第4腰椎、第5腰椎の間で脊柱管の狭窄が起こり、太ももの裏側から足の小指まで痛み、指先立ちができない場合は、第5腰椎と仙骨の間から分岐する第1仙骨が締め付けられていると考えられます。

これは、デルマトーム(皮膚知覚帯)という人体図です。

このデルマトームを参考にして、背骨のどこが狭窄しているのかを推測する事ができます。

安静はかえって悪化。「運動療法」を取り入れましょう。

日常的に足腰の痛み、しびれがあると、家に閉じこもってしまう方も多いです。しかし、足腰の筋力や身体の柔軟性が衰えて、かえって生活の質は下がってしまいます。

何もしないことよりも「運動療法」を取り入れて痛みを軽減して、生活の質をあげていくことが最も効果的です。生活の中に「運動療法」を取り入れて、ストレッチや軽い筋力トレーニングによって背骨周りの筋肉を柔軟にして、筋肉の強さで背骨を支えてあげるましょう。

1 両膝を抱えるエクササイズ

1 仰向けに寝て、両膝を曲げ、両足を床につける。頭の下にタオルをたたんだものや枕をおいても良い。

2 両手で膝を抱え、ゆっくりと胸に引きつけて、腰を丸める。お尻は浮かせると良い。

この姿勢を10秒キープしたら、1の姿勢に戻り、10秒休む。

※腰を丸めることで、腰背筋(背中から腰、お尻にかけての筋肉群)を伸ばして柔軟にし、腰や下肢の負担を減らす事ができる。同時に、狭まった脊柱管あ椎間孔を広げ、神経への締め付けを緩める事もできる。

※膝が痛い人は、膝裏を抱えても良い。

2 イスお辞儀エクササイズ

1 椅子に腰掛けて、腰に手を置く。骨盤をまっすぐに立てる。

2 口から息を吐きながらお腹を凹ませて、骨盤を立てたまま、10秒かけておじぎをする。

3へそを覗き込むような姿勢になったら、ゆっくりと10秒かけて鼻から息を吸いながら、1の体勢へ戻る。

3 片足抱えエクササイズ

1 仰向けに寝る。頭の下にタオルをたたんだものや枕をおいてもいい

2 両手で片側の膝裏を抱えて、膝をゆっくりと胸にひきつける。伸ばしている方の足は、腸腰筋が伸びているのを感じる。

この姿勢を10秒キープしたら、1の姿勢に戻り、10秒間休む。

1ー3を繰り返したら、反対側の足も同様に行う。

4 股関節のエクササイズ

1片膝立ちになる

2息を吐きながら腰を前方にずらす。下腹から太ももの前面が伸びているのを意識しながら、この姿勢を10秒間キープ。1の姿勢に戻り、10秒間休む。

1ー2を繰り返したら、反対側の足も同様に行う。

5 四つ這い正座エクササイズ

※腰椎を丸めて脊柱管を広げ、神経の圧迫を緩めて症状を和らげる動作をおこなう。

1 腕、太もも、胴体、床で四角形を作るようにして四つ這いになる。視線は床に向け、首が下がらないように首からお尻までまっすぐにする。

背中はそらさずに、へそを身体の中へ引き込むつもりでお腹を締める。

2 鼻から息を吸いながら、背中と腰を上へ引き上げて、背骨全体を丸める。できるところまで背骨を丸めたら、自然な呼吸で10秒間キープする。

3 10秒間キープしたら、手の位置は動かさずに、お尻を後ろに引く。口から息を吐きながらゆっくりとお尻を下ろし、前傾姿勢のまま正座する。

息を吐き切ったら、背中と腰が伸び、骨盤が後傾しているのを感じながら、10秒間キープする。

6 腰押し当てエクササイズ

※腰椎の反りグセを正す事で脊柱管を広げて神経の圧迫をゆるめ、症状を和らげる。骨盤を後傾させるコツがつかめる。

1 足を肩幅に開き、両膝を立てて仰向けに寝る。

2 両手をみぞおちにおいて、お腹を軽く膨らませたり凹ませたりして、骨盤が動く感覚を確かめる。

3 口から息を吐きながら、腰を床に押し付ける。このとき、へそを身体の中へ引き込むようにお腹を凹ませ、恥骨を頭の方へ引き寄せるつもりで骨盤を少し回転させる。

腰を床に押し付けた状態で、自然な呼吸で10秒キープする。

腰椎の負担を減らすには、腹横筋、多裂筋を強化すること

先に記したように、腰椎は肋骨などの他の骨が存在しないため、負担がかかりやすい部位です。しかし、「腹横筋(身体のコルセットと言われています)」、「多裂筋」などのを鍛えることによって、腰椎の負担を大きく軽減することができます。

体幹筋を鍛えて、脊柱管を広げ、痛みを軽減していきましょう。

8 ドローイン

1 両足を肩幅に開いて膝を直角に立てて仰向けに寝る。下腹部に手をあてる。

2 両手でお腹が膨らむのを確認しながら、5秒かけて鼻から息を吸う

3 5秒かけて口から息を吐きながら、へそを身体の中へ引き込むようにお腹を凹ませる。手を当てた下腹部が硬くなっているのを確認しながら、そのまま10秒キープする。

1 四つ這いになり、両手、両膝は肩幅程度。指をよく開いて体を安定させる。視線は床に向けて、首が下がらないように注意。首からお尻までまっすぐになるように意識する、背中はそらさないように、へそを身体の中へ引き込むようにしてお腹を引き締める。

9 非対称エクササイズ

2 右腕を床と平行になるようにあげる。

3左足を床と平行手の指先から足の爪先までが一直線になるようにして、この姿勢を10秒キープ。

4 手足の左右を入れ替え、同様に行う。

10 下半身ブリッジ

1 両足を肩幅に開き、60度くらいの角度で膝を立てる。両手は身体の脇に置く。

2 肩、腰、膝が一直線になるところまでお尻を持ちあげる。その姿勢のまま20秒キープ。

※大臀筋と背筋を鍛えて腰椎を安定させることで、歩行時などに脊柱管が狭窄するのを抑える。

症状が出た時

歩行中に足腰に痛み、しびれが出てきたら、立ち止まって前傾姿勢で少し休む。

上体を起こして腰骨に手を当てて、骨盤をゆっくり後ろに倒す。

最も痛みが小さくなる骨盤の位置を見つけて30秒キープ

以上、脊柱管狭窄症の改善や予防における運動療法の紹介でした。

脊柱管狭窄症n治療において、これからますます運動療法の重要性が高まっていくと思われます。是非、症状でお困りの方は運動療法による改善を試みていただきたいと思います。

フレイル予防しましょう!

「フレイル」という言葉をご存知でしょうか?フレイルとは、「健康の状態から要介護へ移行する中間の段階」と言われていて、高齢者の多くはフレイルの時期を経て、徐々に要介護状態へと陥ると考えられています。フレイル予防の一つとして、体操や運動が大切ですが、嚥下機能を維持することは同様に大切です。低栄養はフレイルを引き起こす最大の要因となります。

GOUDA AKITOMO(声楽家、作業療法士)

武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。イタリア国立ボローニャ音楽院留学。2004年「第35回イタリア声楽コンコルソ」ミラノ大賞、松下電器賞。2007年「第12回世界オペラコンクール新しい声」アジア予選ファイナリスト。発声法の研究のために解剖書を読み漁ったことからリハビリに興味を持ち、専門教育を経て作業療法士の国家資格を取得。かごしま音楽教室Sing代表。

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