ブルグミュラー25の練習曲 6.進歩 を解説

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みなさんこんにちは!声楽・ピアノ教室「かごしま(鹿児島)音楽教室Sing!」の郷田です。

今回のこの記事では、ブルグミュラー25の練習曲より6番「進歩」を解説していきます。

タイトルについて

まず、タイトルはprogressです。

進歩、上達、前進、などの意味が含まれています。楽譜全体をパッと見てみると、上行音程が特徴的ですが、

結構「大きな上行音程」の後に「小さな下行音程」があって、再び上行しています。すなわち、「どんどん進歩していっているね!」というよりも「紆余曲折あるけど、進歩しているみたいだよ!」というような曲なのではないかな?と思いますが、どうでしょう??

形式

楽節A+楽節B+楽節Aの三部形式をとっています。

では、各楽節をみていきましょう。

楽節A

右手と左手のメロディが10度のハーモニー(オクターブ+3度)で上行していますよね。この2つのメロディがバラバラ…となりたくありませんね。

ここを綺麗に揃えるために、まずは右手の指くぐり部分の部分練習を「両手」で取り組んでみる事をお勧めします。指くぐりは、”親指’を’超えていく”動きよりも、”親指’が’超えていく”動きの方が難易度が高いからです。

この上行音程の場合、親指が超えていくのは右手の動きになります。なので、右手指くぐり部分の部分練習を確認しながら両手の動きを馴染ませると良いと思います。

両手を揃える以外の技術的には、

例えば1小節目を見てみましょう。

第1スラーが3拍目あたままで、第2スラーが3拍目裏拍から小節をまたいで次の上行形につながり2小節目3拍目あたままで、という第1スラーと第2スラーの間はしっかり区切りましょう。

つまり楽譜に書かれてある通りに演奏しましょうね、と言う事が言いたいのですが、その意味を演奏者個々が想像し決定しておく事をお勧めします。

例えば、第1スラーが進歩→第2スラーが次の進歩への準備、など心の中にイマジネーションを持つだけで、演奏というのは「生き物」になっていきます。指導者の方は是非「ここは切るところだから切りましょう」ではなくて、意味づけも含めて(しかも先生の意見の押し付けにならずに生徒さんに解釈や意見を求めながら)指導される事をお勧めします。

3小節目の右手のスタッカート、4小節目の左手のスタッカートには、みなさんどんな情景を想像しますか?

もちろん正解はありませんが、「進歩した嬉しさや楽しさ、ワクワク感」を感じる、など演奏者自身の解釈を持って演奏してみましょう。

5小節目で、目標に到達した!と思えるような充実感を、クレッシェンドと最後のフォルテで表現してみましょう。

楽節B

楽節Aとはまた違った世界観を持った楽節です。隣り合う2つの音は上行しながらも、フレーズ全体的にはメロディが下行していっています。

Aでは素直な進歩をしていたのに対して、この楽節ではちょっとした困難や壁、を乗り越えようとしているような印象も感じますね。

技術的には、細かくアクセント記号がついていますよね。これらは裏拍に全てつけれられていて、いわゆる「シンコペーション」の部分です。

このシンコペーションは慣れるまで時間がかかると思います。まずは指先で力を込めたアクセントではなく、腕の「重さ」…つまり重力を利用してアクセントを打鍵。その次のスタッカート部では腕を上に上げる力を使って指力の打鍵が強くならない工夫をしてみましょう。

GOUDA AKITOMO(音楽家、作業療法士)

武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。イタリア国立ボローニャ音楽院留学。2004年「第35回イタリア声楽コンコルソ」ミラノ大賞、松下電器賞。2007年「第12回世界オペラコンクール新しい声」アジア予選ファイナリスト。発声法の研究のために解剖書を読み漁ったことからリハビリに興味を持ち、身体や脳の機能など専門教育を経て作業療法士の国家資格を取得。かごしま音楽教室Sing代表。

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