「忘れ」が多い子はどうしたらいい?

こんにちは、〈声楽・ピアノ教室〉鹿児島音楽教室Sing!の郷田です!今回も、お子様への対応の話になりますが、親御様にとっても参考になる内容かと思いますので、是非お子様への理解へ役立ててみてください。

忘れ…ワーキングメモリが原因かもしれません

忘れ物が多い、提出物がなかなか出せないといった子は(という私も小学生時代はよく忘れ物をして学校の廊下に立たされていましたが笑)実は、「ワーキングメモリ」にエラーが生じているケースが多いと思われます。

ワーキングメモリとは、脳の機能の一つです。記憶を「保持」した後に「整理」し、必要がなくなればすぐに「削除」するという特徴があります。短期的な記憶にあたるものです。

ワーキングメモリの特徴


人間の脳の長期記憶のメモリには限界があります。そして記憶の長期的な継続には、ものすごく沢山のエネルギーが必要となります。日常で、見たもの聞いたこと、体験したこと、感じ取ったことなどの”全てそっくりそのまま長期的に記憶し続ける事”は不可能です。自分にとって必要な情報だけを長期記憶に留めておき、必要のないものは忘れることで、普段使う脳の機能を効率化しているわけです。

このように、ワーキングメモリによる一時的な記憶には、日常生活のさまざまな場面における行動・判断を支えるとともに、長期記憶に負担をかけないという役割があります。

ワーキングメモリのいわゆる「メモリー量」には「個人差」があり、容量が小さな人もいれば、多くの記憶を留めておける人もいらと言われています。

ワーキングメモリは1人1人特徴が違う


その場で「わかりました」と言ってもしばらくするとすぐに忘れてしまう子…大人でも良くある事ではありますが…この場合は、ワーキングメモリの書き込みがスムーズにいっていなかったりします。つまり記憶の残りやすさ、忘れやすさには個人差があるともいえます。


また、その場で覚えたことをすぐに実践できる人もいれば、じっくりと考えてから実践に落とし込む人もいます。これも、記憶の整理において個別の特徴がある事を意味しています。

子どもの忘れ物、自分の又は親御様から託された提出物を出し忘れるなどは、脳の記憶に関する特徴、知識を知っておくことで適切な指導をする事ができます。ワーキングメモリには「個別性」があり、それに関わるエラーが学校生活や日常生活に大きな影響をもたらしているのです。

教師は、ワーキングメモリについて知っておくことが大切

子供を担当する音楽先生もこれらのワーキングメモリに対する知識…もっというと子供の発達や脳の事などを知っておく必要があると思います。知識がなく先生が感じたままに対応してしまうと「意欲、態度が悪い」と評価を下したり、最も良くないのは「罰」的な外的動機によって子供が直る方向へ「コントロール」するような方向へ行ってしまいます。まずは、子どもの様子と知識を照らし合わせて原因を正しく考察し、意欲・態度・自覚の問題と決めつけないようにすることが大切です。

また、支援の手立てを考える際には、「個別性」を十分に踏まえる必要があります。「何度言い聞かせても伝わらない」という子は、もしかしたらメモリが書き込みづらい、すぐにリセットされてしまうなどのタイプなのかもしれません。このような場合、視覚化する(絵などを用いる)などの手立てによって伝わりやすくなることもありますので、工夫によって「個別性」に合わせていく事が必要です。

最後に

最後に、ワーキングメモリが書き込みつらい、忘れやすいという事は、悪いことばかりではないようです。切り替え早かったり、ものごとに固執しない、ネガティブな感情をあまり引きずらないなどのよい部分を発揮している子どももいます。先生はこうした姿を見るとつい「反省していない」と決めつけてしまうところがあるのではないでしょうか。見方を変えれば、その子の長所ともなりえる部分でもありますので、ポジティブな面にも注目してあげる事も同時に大切かもしれません。

GODA AKITOMO(音楽家、作業療法士)

武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。イタリア国立ボローニャ音楽院留学。2004年「第35回イタリア声楽コンコルソ」ミラノ大賞、松下電器賞。2007年「第12回世界オペラコンクール新しい声」アジア予選ファイナリスト。発声法の研究のために解剖書を読み漁ったことからリハビリに興味を持ち、身体や脳の機能など専門教育を経て作業療法士の国家資格を取得。かごしま音楽教室Sing代表。

Follow me!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次