かごしま音楽教室Sing!のホームページにお立ち寄りいただきまして、ありがとうございます。
当教室が第一に目指す音楽教育…それは「健全、健康、幸せである」ことが前提とされるものです。なぜ私がそのような考えに至ったのかを、このページでお伝えしたいと思います。
優等生だった患者さんとの出会い
私は、音楽から一旦離れて医療の道へ転じた経験があります。国家試験をパスし、最初の臨床場となったのは精神科病院でした。
精神科病院でまず驚いたのは、「優秀な幼少期、青年期を過ごしていた」患者さんが非常に多かったことでした。有名な進学校に通っていた方、音楽の英才教育を受けていた方、など様々な方と出会いました。
優秀であるのに…
しかし優秀であるのに…皆一様に「自己肯定感」が低く、「幼少期、思春期の無理な教育」のトラウマに苦しめられ、精神的な症状に長く悩まされていたことも事実です。親や先生に怒られないために、認められるために、という動機で物事に取り組む「認知」が出来上がっており、「自分がどうしたいか」がわからない故、自我が芽生えるのが遅くなり、社会で生きづらくなった事例が実に多くありました。どうやったら症状が改善されるのかを、患者さんと共にたくさん考えてきました。
音楽の早期教育に思うこと
音楽教育界も、しばしば「厳しい早期教育」が施される事があります。世界に羽ばたく素晴らしい音楽家は早い段階からレッスンを始めている事がほとんどですので「早期教育」自体を否定はできません。気をつけなければならないのは「早期教育」自体ではなく、その「教育の内容」にあります。
高い専門性、高度な技術をもった先生ほど、芸術への深い探究心があります。しかし…自己の探究心、熱量を他己投影するような方法で子供に言い聞かせる、つまり、先生が「こうでなければいけません」「私の言う通りにしなさい」と教え込むようなバイアス(偏り)があれば、行き着く先は、耐久できた人は優秀な生徒となるかもしれませんが、耐久できなければ心を病む生徒を生む、そんな不安定な教育になります。そして、耐久できた人が「私は厳しさに耐えたからできるようになった」と短略的に理解して、後進に「このくらいの厳しいことに耐えられなければできるようになりません」と、(人の成長と全く直結しないしつけとして)「生存者バイアス」を繰り返していく。
これから未来が開けている方々へ、そのような不安定な教育は施してはならないですし、その誤った歴史を繰り返してはならないと思います。
生徒さんの未来へ良いサポートを
未来のある方々へ育まなければならない力は、基本的に外発的な動機によるモチベーションではありません(時に有効な場合もありますが)。真に必要な力は、内発的な動機で取り組む力や、「社会を生きて行く上での健全性」です。それらを、音楽技術と同じかそれ以上に重視して、育んでいく必要があります。
当教室では、決して教え込んだり、生徒さんをコントロールすることではなく、生徒さんとの対話を大事にして「自発的に成長しようとする健全性が高い」教育を通して「健康な心と身体」を作るサポートをしていきたいと考えています。
大人の方も「健全な音楽成長」を
大人の学習の場合も健全な音楽成長は大切です。例えば、初学者〜上級者までのカテゴリーがあり、「各カテゴリーのフェーズ」によって課題は異なります。各カテゴリーや個別性に合った指導を行わなければ、その人は音楽成長や音楽健康を害してしまうことは大いにあります。
年齢に関わらず、健全な音楽成長のためには「楽しさや自由」と「音楽の制約」の両面を、適切なタイミングで獲得していく必要があります。そして健全な音楽成長は、生涯にわたって「ご自身の健康」をサポートをしてくれる栄養素となります。
どんな世代のどんな人も「有能か否か」に支配される人生はどこかで「健全さ」を失うリスクがあります。当教室は、音楽の素晴らしさや技術上達の喜びのみならず、皆さんの生涯にわたる「音楽と幸せ」をサポートすることにも、特に重点を置いています。